サイゼリヤで学ぶ西洋絵画 その1

みなさんこんにちは!

いま一番行きたい国はイタリア、ディレクターの澤田です。

ローマ ヴェネツィア広場

「サイゼリヤ」って知ってますか?

突然ですが、みなさんはファミリーレストラン「サイゼリヤ」に行ったことはありますか?

安くておいしいイタリアンが食べられることで人気のレストランですね。私も普段から大変お世話になっておりますが、実は、サイゼリヤの楽しみ方は食事だけではないことをご存知でしょうか?

サイゼリヤ店内を思い出してみてください。店内を見渡したとき、壁に天使の絵などが飾られているのを見たことはありませんか?

実はそれらの絵は、実在する西洋絵画のレプリカです。

サイゼリヤには、店内にイタリア・ルネサンス期の西洋絵画がいくつか飾られています。

……そう、つまりサイゼリヤは美術館でもあるのです。

サイゼリヤの絵を解説します

そこで、今回の記事では、学生時代に文学部で美術史を専攻し「サイゼリヤにある絵の名前が全部言える」という何の役にも立たない特技を習得した私が、サイゼリヤで学べる西洋絵画について解説させていただきます。

アートって難しい、よくわからない、と感じる方にもきっと少し楽しみ方がわかっていただけると思うので、よければこれを機に絵画に興味を持ってもらえたら嬉しいです!

①アテネの学童

『アテネの学堂』ラファエロ

歴史

15世紀イタリア・ルネサンス期、ラファエロによって描かれた作品。古代ギリシャの哲学者たちが集い、活発な議論を繰り広げる様子を描いています。

描かれた背景

当時、フィレンツェでは古代ギリシャ・ローマ文化への関心が高まっており、ラファエロはこの作品を通して知の重要性を表現したと考えられています。

鑑賞ポイント

①それぞれの哲学者たちの表情や仕草に注目してみましょう。絵の中にソクラテスやプラトン、ピタゴラスなど、有名な哲学者たちが隠れているので、その人物を探すという楽しみ方もできますよ。

②背景に描かれた建築物にも注目してみましょう。作者のラファエロは実は建築家でもあります。柱などの特徴から、古代ギリシャ・ローマ時代の建築様式が取り入れられているという発見もできます。

③この絵画の構図には、「遠近法」が取り入れられています。今ではよく聞く言葉ですが、当時としては最新の技術で、デザインでもよく使う”奥行き”という概念はこの時代に生まれたのですね。

②アモルとプシュケ

『アモルとプシュケ』ウィリアム・ブグロー

歴史

19世紀フランス、ロマン主義の画家ウィリアム・ブグローによって描かれた作品。これだけ他の作品よりも少し後の時代のものですが、ギリシア神話に登場する美女「プシュケ」と愛のキューピッド「アモル」を描いた作品です。

描かれた背景

ブグローは、神話や天使、少女を題材とした絵画を多く描きました。この作品も、ギリシア神話のプシュケーとアモルの美しい姿をドラマチックに表現しています。

鑑賞ポイント

①人物の白い肌と金色の髪が光を受けて輝いていますね。光と影を巧みに使って作品全体からロマンチックな雰囲気を漂わせているところが、ロマン主義の絵画らしい特徴です。

②ギリシア神話・プシュケとアモルの物語を調べてみると、よりこの作品を楽しむことができます。

③リュートを弾く天使

『リュートを弾く天使』ロッソ・フィオレンティーノ

歴史

15世紀イタリア・ルネサンス期、ロッソ・フィオレンティーノによって描かれた作品。美しい天使がリュート(ギターのような弦楽器)を弾く様子を描いています。

描かれた背景

この作品は、宗教(キリスト教)における聖書のワンシーンや登場人物を描く、宗教画の一つです。天使は純潔と美の象徴とされていて、この作品を通して理想的な美の世界が表現されています。

鑑賞ポイント

①天使の美しい顔立ちと繊細な表現に注目してみましょう。くるくるの赤毛が愛らしいですね。

②天使が手にしているリュートにも注目してみましょう。当時の楽器の精巧な描写を楽しむことができます。

③作者のロッソ・フィオレンティーノはこの天使と同様に赤毛の美男子だったそうで、音楽にも関心があり、今で言うと大変イケメンだったようです。

おわりに

いかがでしたか?

まだまだ紹介したいところですが、そろそろみなさん疲れてきたと思うので、今回はここまでとさせていただきます。なんとなく敷居が高いイメージを持たれがちな美術や美術館ですが、入り口がサイゼリヤなら少し興味を持ちやすいのではないでしょうか?名画とイタリアンを同時に味わえるなんて、なんと贅沢なことでしょう。

好評であれば続編を書こうと思いますので、お楽しみに★