【7月】おすすめの一冊

【7月】おすすめの一冊

月ごとの、小説や詩のおすすめの一冊をご紹介していきます。7月、夏です。夏らしい爽快感のあるものがいいですね。

おすすめの小説

この本は、金城一紀が書く「ゾンビーズシリーズ」というシリーズものの3冊目です。シリーズもの、と言っても、共有の登場人物はいますが、主人公も毎回違い、どの本から読み始めても特に問題なく読むことができます。ゾンビーズ、といってもゾンビが出てくるわけではなく、気持ちのいい青春小説です。

1作目は、「ゾンビーズ」という個性的でおバカな男子高校生たちが物語の主役だったのですが、2作目「フライ、ダディ、フライ」では冴えない中年男性が、本作「SPEED」では、他校の女子高校生が主役で、ゾンビーズは主人公たちに深く関わる名脇役の役割です。「フライ、ダディ、フライ」は、 映画化されたので知っている人も多いかもしれませんね。岡田准一さんと堤真一さんが出演されていました。

あらすじを文庫より

頭で納得できても心が納得できなかったら、とりあえず闘ってみろよ――。平凡な女子高生・佳奈子の日常は家庭教師の謎の死をきっかけに、きしんだ音を立て始める。謎を探る佳奈子の前に立ちはだかる敵。そして、偶然出会った風変わりなオチコボレ男子高校生たちに導かれ、佳奈子は歪んだ世界に敢然と立ち向かうことを決心する! 大人気のザ・ゾンビーズ・シリーズ第3弾。

このシリーズ、とにかく名言が多いです。「SPEED」から、いくつかご紹介。

「頭で納得できても心が納得しなかったら、とりあえず闘ってみろよ。こんなもんか、なんて思って闘いから降りちまうのは、ババアになってからでいいじゃねえか」

「あんたのせいでクラスでシカトされてるのよ」

「おまえがクラスの連中をシカトしてやれよ」

「いつかおまえのジュテを見せてくれよ」

イメージとしては、「大人のための『僕らの七日間戦争』(宗田理)」といったところです。子どものころ「僕らシリーズ」が大好きだった自分がハマるのも無理ないかな、と思います。余談ですが、1作目『レヴォリューションNO.3』の中にある「君のためなら三十日間連続で土方をしてもいい。そして、そのお金で君に指輪を買うんだ。」という口説き文句が大好きで、最高にロマンチックだと思っています。

ポップでキザで爽快な、とっておきの「青春小説」。読み終えた後に、まわりの人に「愛してるよ!」と言ってまわりたくなるようなおはなしです。この夏、ぜひ読んでみてください。